本郷焼と宗像窯
約四百年の歴史がある会津本郷焼は東北地方最古の焼き物として知られている。だが、意外とその歴史や会津の焼き物文化を知らない方が多いので、会津本郷焼について話してみようと思う。 |
天目茶碗に出合う
宗像窯は三百年ほど前から庶民の生活に必要な日用品を作ってきました。そう話すと多くの方から美術品との違いは何かという質問を受けます。今は高くても安くても自分が気に入ったものを普段の生活の中で大事に使う人が増えています。そこで美術品としては最高峰といわれている国宝の茶碗の話をさせていただきます。 |
井戸茶碗に魅せられて
現在、日本で国宝になっている茶碗(ちゃわん)は八点あります。そのうちの七点が無名の工人の作です。中国の曜変天目三点、油滴天目一点、玳玻(たいひ)天目一点、朝鮮の井戸(銘・喜左衛門)一点、日本の志野(銘・卯花墻)一点です。作者が特定されているのは本阿弥光悦の自身替わり楽茶碗(銘・不二山)です。天目茶碗とおなじくらいわたしが魅せられたのが井戸茶碗です。 |
器と食文化
「テーブルマナーの講習会」というと一般的にはフォークとナイフを使った様式の食事マナーのことですが、日本の食文化を考えた際、主食であるご飯をはしで食べるという当たり前のマナーを教えることがきちんとなされてこなかったような気がします。わたしは大学の講義の中で学生に和食器と洋食器の違いをたずねると、ほとんどの学生が洋食器は白い皿型で薄くて軽いものと答えます。しかし、薄くて軽い磁器は西洋だけでなく有田焼の柿右衛門に代表されるように日本でも焼かれています。 |
陶器と磁器の違いを考える
一般に焼き物のことは陶磁器といい、この名の通り陶器と磁器の両方で成り立っています。陶器は粘りのある粘土で作り、焼成温度は1000〜1250度です。たたくとボコボコとした濁音を発し、吸水性があります。磁器は石物ともいわれ、原料は白い石です。別名を白磁ともいい白く焼き上がることを望みます。石英を多く含むので焼成温度は石英を溶かすために1350度以上の高温で焼きます。そのために陶器よりも硬く焼き締まり、吸水性はゼロに等しいです。 |
このごろ考えること
作品作りに取り組んでいるとき、最後まであきらめないで挑戦したときにこそ、初めて進化した作品が生まれるような気がします。そのためにも今は土壇場になっても集中力が持ちこたえられるだけの体力と精神力を普段から養っておく重要性を感じています。1997年に日本陶芸展で準大賞を受賞しましたが、実はその十数年前から賞の候補に挙がっていながら、あと一歩で受賞できずにいました。ずっと同じ形の鉢を出品していたので両親からも「違うものを出品しろ」と言われ後がない状況でした。 |