宗像利浩さんが高島屋大阪店で個展を開くのは、今回で二年ぶり三回目であるが、いつものことながら今度はどのような仕事が見られるだろうかと、期待で胸が膨らんでくる。そうかといってもちろん宗像さんは、作風を目まぐるしく変えるようなタイプの作家ではない。それどころかこの作家は、あくまで日常の生活に根ざした剛健な会津本郷焼の伝統をまもりつつ、壷、鉢、皿、茶碗など平明な形の飾り気のない作品をつくり続けているのである。 会津本郷焼(現在の会津美里町)は、桃山時代以来四百年に及ぶ歴史を持つ窯場であるが、現在は宗像窯だけが活動を続け、利浩さんはその八代目である。そういう長い会津本郷の歴史を受け継ぎつつ、利浩さんはそれに安住することなく、あらたな器形や釉色を創り出して作域を大きく拡げてきた。最近は日常の器物のほかに、茶碗や水指などの茶陶にも大きな成果をあげている。今回の個展では、禾目や釣窯釉、あるいは古本郷の巴茶碗にも挑戦するというが、どうのような素晴らしい世界が開けるか、大いにたのしみである。