宗像窯のあゆみ ▼English version

 宗像窯の先祖である宗像出雲守式部は、767年(奈良時代)に福岡県宗像大社の布教師として会津美里町(旧会津本郷町)に移り住み、宗像神社を建立し、代々神官をしておりました。当時神官は布教活動を行う地域で生活の糧を自らの工夫によって得るのが原則であったため、1719年(享保4年)より、神官の傍ら焼き物作りを始め、文政の頃、八郎秀延の代より焼き物作りが専業となりました。
 1958年(昭和33年)、六代豊意(故人)の代には、ベルギーのブリュッセル万国博覧会において、にしん鉢がグランプリを受賞。 1963年(昭和38年)には、秩父宮妃殿下のご来訪を賜りました。さらに、七代亮一(先代)は、福島県文化功労賞を受賞するなど、宗像窯の隆盛の基を作りました。
 2005年(平成17年)より宗像窯八代当主を利浩が継承し、近年では、フランス・パリなど国内外で個展を開催し、また東大寺(奈良)に抹茶碗を奉納するなどして今日に至っております。なお、2011年の東日本大震災では、町指定の文化財の登り窯が大きく損傷しましたが、多くの方々のご支援により宗像窯登り窯再生プロジェクト(代表大塚孝義氏)が立ち上がり修復されました。
 これからも先人の残した技術と精神を受け継ぎ、作陶に努めてまいります。

秩父宮妃殿下御来訪 六代目豊意と柳宗悦、河井寛次郎等ご一行様 平成25年登り窯にて東大寺別当による復興祈願式


About Munakatagama


MUNAKATA-GAMA (Kiln of Munakata) Introduction of Munakata-gama In 1593, pottery in Aizu, the westernmost of Fukushima Prefecture in Japan, was started by Gamo Ujisato when he was the lord of Aizu-Wakamatsu Castle. In 767, Munakata Izumonokami Shikibu, the ancestor of Munakata-gama, moved to Aizu and established a Munakata shrine to engage in missionary work for Munakata Taisha, the head of the approximately 6,000 Munakata Shinto shrines located in Munakata, Fukuoka Prefecture. While Munakata Family was dedicated to the missionary work, they started making a living as potters in 1718. Since then, for more than 100 years, the family’s priority was missionary work and the pottery was one of ways to support their living. However, in 1818, the 6th heir of Munakata Family, Hachiro-Hidenobu, whose skills and techniques were outstanding, resigned from the shrine to be the 1st master of Munakata-gama. This is the beginning of Munakata-gama In 1958, a pot made by Toyoi Munakata, the 6th heir of Munakata-gama, won the grand prize in Brussels International Exposition. In 1963, Princess Chichibu, an aunt of the present emperor, visited Munakata-gama. In 2010, the 8th master, Toshihiro Munakata, held a solo exhibition in Paris, France. We will continue to inherit skills, techniques and sprits our predecessors had taught us and will continue to create our best works.








宗像窯の仕事


宗像窯は、創業当初より会津の恵まれた自然の恩恵を受けて参りました。現在も自然の恵みに感謝しながら、土や釉薬は地元産の厳選された原料を使って作陶しております。

宗像窯の土
宗像窯では創業当初より地元白鳳山で採れる的場陶土を使いつづけております。この土は粘土の中に砂と鉄分が微妙に混じりあい、全国でも稀な生がけ焼成が可能な土です。宗像窯独自の質感や味わいはこの土により生かされてきました。

宗像窯の釉薬
宗像窯の薬は地元で採れる顔料や、地元のナラ灰を主原料としております。現在では宗像窯伝来の飴釉、白釉、鉄釉、辰砂釉に改良を加え、禾目釉、天目釉、井戸釉、瑠璃釉があります。 また原料となる灰は、工房でのまきストーブの灰を使い、資源の再利用も自然の形で行っています。

焼き物を作る
伝統的にロクロ成形とにしん鉢に代表されるタタラ成形が基本となっております。ここではロクロ成形をご紹介したいと思います。

1. ロクロ成形(利鉢)
土に接着したカメ板に15キロの土を載せ、穴を開けて土を端に寄せる。
土を殺してから底をつくり、さらに荒く伸ばす。
荒伸ばしの後に口を締める。すでに最終的な形を意識している。
さらに口を締めながら形を整えてから口を開く工程に移る。
全体を確認してロクロ成形が完了する。

2. 削る
形が動かない程度に乾いてからロクロの中心にすえ、高台に目印をつけて、木製のカンナで削ります。
3. 薬をかける。(井戸茶碗)
土が完全に乾いてから素焼きはせずに釉薬をかける生がけをします。
※1〜3 陶工房49号より抜粋、写真:高島秀吉氏

4. 焼く

宗像窯では伝統的に登り窯で焼成をしておりましたが、現在ではガス窯も併用しております。
登り窯につきましては、焼き方は始めに一番下の大口で2日間かけてゆっくりと窯全体を暖めながら温度を上げてゆき、一旦大口を閉め、次の部屋の焼きに入ります。ここからの炊き方は横炊きになり、左右から二人で呼吸を合わせ炊いてゆきます。 時間は全体で三日三晩、不眠不休で炊き続けます。


5. 窯だし

焼成をして焼き上げた後、冷め割れや貫入を防ぐため窯をじっくり時間をかけて冷まします。窯出しをするのが待ち遠しく、待っている時間がとても長く感じます。何度窯焚きを経験しても窯出しをして納得のいく作品が出来上がった時の感動は大変大きいものです。














登り窯 ▼English version
登り窯

宗像窯登り窯(町指定文化財)
 登り窯は、江戸中期に造られ、山の傾斜を利用して燃焼効率を最大限に高めた伝統的な薪窯です。近年、地球環境への意識が高まる中、焼成時に二酸化炭素(CO2)をほとんど排出しないことから、再び注目を浴びています。
 当窯の登り窯は江戸中期に築かれたと伝えられております。現在、東北で使われている登り窯としては最古のものであり、大きさは全長約20M、幅は約5Mあり、七つの窯が連なる日本有数の大窯です。
 窯の焼成は火入れをしてから二昼夜、火を絶やすことなく不眠不休で焚き続けます。 現在宗像窯では、この伝統的な登り窯の焼成方法をガス窯に応用して、日本でも稀な'生がけ焼成'も併用して行っております。2011年東日本大震災により被害をうけましたが、「宗像窯登り窯再生プロジェクト」(代表大塚孝義氏、副〃中込康博氏)により2012年に修復されました。


The climbing kiln


The climbing kiln, with 7 rooms, was originally built in middle Edo Period. This is the oldest climbing kiln in the Tohoku region. The climbing kiln was damaged by Tohoku earthquake in 2011. However, “Munakata Climbing Kiln Repair Project” was organized and the repair work was completed in 2012.








にしん鉢

にしん鉢


 1958年に宗像窯の六代目豊意がベルギーブリュッセル万国博覧会で最高賞のグランプリを受賞した鉢です。
 にしん鉢ができた背景には当時の会津の生活や風土があります。山に囲まれた盆地の会津には新鮮な生魚が入りにくく、タンパク源として乾燥させた身欠きにしんをサンショウと酢、しょうゆで漬け込む「にしんのサンショウ漬け」が作られました。これを食べるためににしん鉢が必要だったのです。現在はサンショウの新芽が出る5月ごろに浅漬けして食べるのが主流となっています。
 にしん鉢の形は長方形で、5枚の板による張り合わせで作られます。釉薬(ゆうやく)は茶色の飴釉(あめゆう)が主流です。飴釉は焼き上がったあとに冷めるときにできるひび割れがほかの釉薬に比べて少ないので、油が染みにくく水漏れが少ないです。塩分にも酸にも強い一番丈夫な釉薬です。それに陶器のにしん鉢はプラスチックやガラスと違い、器自体が呼吸していて、気温や湿度を微妙に調整する力があるため、漬け汁が良い状態に保たれ、にしんがおいしくなります。
 にしん鉢が世界で評価されたのは単純に色や形が優れているだけの表面的なものだけでなく、作品の中に会津の風土がしっかりと刻みこまれている点です。単純な構成の中に力強さと美が備わっているため、日本的なものとして世界に認められたのです。
 又現在は、花器やワインクーラーにも使われております。

商標登録第5346214号(平成22年8月)


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